炭水化物抜きダイエットのリスク・副作用
炭水化物抜きダイエットにはリスク・副作用がある可能性があります。このリスク・副作用は、
- 炭水化物(特に食物繊維)の不足
- 不足するカロリー(炭水化物分)を、肉類(牛肉・豚肉)によって補う
ここでは、 低炭水化物ダイエットのうち、 炭水化物の不足によるリスクと、 肉類(牛肉・豚肉)の過剰摂取によるリスクについて、 紹介しています。
炭水化物抜きダイエットのリスク・副作用一覧
■肉食(牛肉・豚肉)による副作用
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心血管系疾患(動脈硬化、心臓病など)
欧米の研究(※1)では、 食物繊維分を24g/日以上摂取で心筋梗塞死亡率の低下が、 12g/日未満摂取で死亡率の上昇が観察されています。また、 厚生労働省も「食物繊維の摂取量と心筋梗塞のリスク(発症率又は死亡率)に関して、 ほぼ直線的に負の関連が示されている研究がある。」と発表しており、 成人の食物繊維摂取の目標量を20gとしています。
「炭水化物=糖質+食物繊維」であることから、 炭水化物の不足は、食物繊維の摂取不足を招き、 心血管疾患リスクを上昇させてしまいます。
一方、適度な(極端に行き過ぎでない)低炭水化物は、 動脈硬化の予防・改善に効果がある可能性も示唆されています。
心血管系疾患とお肉の更に詳しい関係については、 炭水化物抜きダイエットと心臓病・動脈硬化をご参照下さい。
参考:
※1:ペレイラMAら「食物繊維と冠状動脈性心臓病の危険性」
※1:ペレイラMAら「食物繊維と冠状動脈性心臓病の危険性」
寿命を減らす
牛肉や豚肉などのお肉は、 がん、心血管疾患、腎臓結石、胆石など、 幾つかの病気の発症率を増加させ、 寿命を減らすリスクがあります。このお肉の消費量と低寿命は多くの研究で証明されており、 「お肉の消費量が少ないことは、死のリスクを減らす」という研究結果が多くなっています。
具体的な年数、肉の消費量については、お肉と寿命・病気をご参照下さい。
大腸がん、直腸がん、その他がん
世界保健機関(WHO)によると、 「がんの30%は食事が原因である」と述べており、 肉食は以下のガンの発症率を上げることが分かっています。
肉食によるがん発症率の増加
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イギリスで行われた1万1130人を対象に行った調査(※1)によると、 肉食者のがん発症率は、非肉食者と比較すると、 1.6倍高くなっていました。
また、ドイツで行われた1,904名の菜食主義者の11年間の追跡調査(※2)によると、 菜食主義者は全ての死亡率がおよそ半減(男性:0.44、女性:0.53)し、 その中で、ガンの死亡率は男性で半減(0.48)、女性で3/4(0.74)となっていました。
また、ハーバード大学が行った研究でも、 毎日お肉を食べる人は、めったにお肉を食べない人と比較すると、 およそ3倍、結腸癌の発症リスク高かった、と発表しています。
参考:
※1:1994年ロンドン「肉食と非肉食者におけるがんと虚血性心疾患による死のリスク」
※2:ドイツ癌研究センター「11年間のフォローアップ後の菜食主義者の死亡パターン」
※1:1994年ロンドン「肉食と非肉食者におけるがんと虚血性心疾患による死のリスク」
※2:ドイツ癌研究センター「11年間のフォローアップ後の菜食主義者の死亡パターン」
糖尿病
お肉、特に牛肉と豚肉の消費は、 2型糖尿病のリスクを増加させます。ハーバード大学の博士らが行った研究(※1)によると、 196万5824リスク人年(=人数×調査年数)を分析した結果、 赤肉の摂取量の増加は2型糖尿病の発症リスクの増加と関係していた、と発表しています。
この研究において、 当初の基準値から1日あたり0.5人前、赤肉の摂取を増加させたグループは、 変更なしのグループと比較すると、 48%糖尿病のリスクが増加し、 BMIと体重も増加していました。
反対に、1日あたり0.5人前、赤肉の消費量を減らしたところ、 14%糖尿病のリスクが減少していました。
参考:
※1:2013年「米国の男女における(中略)赤肉の消費と2型糖尿病発症リスクの変化」
※1:2013年「米国の男女における(中略)赤肉の消費と2型糖尿病発症リスクの変化」
その他
肉の消費によってアルツハイマー病のリスクが高まるのは、 アルツハイマー病の主要構成成分である「タウ蛋白」または「β-アミロイド」と呼ばれるたんぱく質が、 脳内に蓄積し、 それらが神経細胞を破壊すると考えられているためです。また、お肉の消費が増えると血圧が高くなります。
1900年から2013年までに発表された39の論文を分析したところ(※1)、 7つの対照試験(311人の参加者)では、 野菜の消費は収縮期血圧(最高血圧)の低下(-4.8mmHg)と、 拡張期血圧(最低血圧)の低下(-2.2mmHg)をもたらしていました。
また、32の観察研究(2万1604人)では、 野菜の消費は収縮期血圧(最高血圧)を-6.9mmHg、 拡張期血圧(最低血圧)を-4.7mmHgを低下させていました。
参考:
※1:国立循環器病研究センターの博士ら「ベジタリアンダイエットと血圧」
※1:国立循環器病研究センターの博士ら「ベジタリアンダイエットと血圧」