筋力トレーニングの健康効果

有酸素運動も筋力トレーニングも多くの健康効果を有するものの、 その内容は少し異なります。 ここでは、筋力トレーニングの健康効果について、 紹介しています。


筋力トレーニングの健康効果
■病気の予防・改善
  • 糖尿病
  • サルコペニア
  • 骨粗しょう症
  • 腰痛
  • 関節痛
  • 心臓病
  • 血圧
  • その他(胃腸、風邪など)
■女性
  • 乳がん
  • PMS(月経前症候群)
■体重
  • 肥満改善
  • 基礎代謝の向上
■精神疲労、疲労
  • うつ病
  • 不安
  • 自信を高める、自尊心の向上
  • スタミナの向上、疲れにくい身体
■その他
  • 姿勢が良くなる
  • 睡眠の改善
  • 認知機能の向上

病気の予防・改善

糖尿病

糖尿病と筋力トレーニング
2型糖尿病の改善に筋力トレーニングが効果があります。

これは、筋力トレーニングの以下の効果によるものです。
  • インスリン感受性を改善する
  • 血糖値を下げる
  • 体重(体脂肪)が減少する
食事によって摂取されたグルコース(ブドウ糖)は、 「肝臓」、「骨格筋」、「脂肪細胞」のいずれかに蓄えられますが、 筋肉は筋力トレーニングによってその容量を増加させることができ、 この筋肉量が大きければ大きいほど、インスリン感受性が高くなることが知られています(※2)。

そのため、 インスリン感受性は年齢とともに悪くなる傾向がありますが、 「年齢よりもライフスタイルの影響が大きい」(※1)と言われます。

1997年スポーツ医学の国際ジャーナルに掲載された研究(※3)によると、 筋力トレーニング後のHbA1c(グリコヘモグロビン、糖尿病を測る指標の1つ)と筋肉断面積との間に強い逆相関があったとし、 「軽症インスリン非依存性糖尿病に対して、筋力トレーニングは非常に有益な手段である」と発表しています。

反対に、筋肉量が少ない場合、 食事によって摂取された余ったグルコース(ブドウ糖)は、 脂肪組織に蓄積されてしまうため、肥満、糖尿病へとつながります。

スペインで行われた研究(※4)によると、 9名の高齢男性(66.6±3.1歳)において、 16週間の筋力トレーニングを週2回実施したところ、 以下のような結果となりました。

筋力トレーニングと糖尿病に関わる値の変化
最大筋力 約18%増加
内蔵と腹部脂肪 10.3%減少
BMI 変化なし
インスリン感受性 46.3%向上
空腹時血糖値 7.1%減少


参考
※1:研究「加齢変化に伴うインスリン感受性と筋肉酸化能力に対する有酸素運動の影響」
※2:研究「筋力運動は肥満の若者において、筋肉量と肝臓のインスリン感受性を改善する」
※3:研究「インスリン非依存性糖尿病の治療における筋力トレーニング」
※4:スペイン ナバラ大学と病院に所属する博士など
「週2回のレジスタンストレーニングは(中略)2型糖尿病、インスリン感受性を改善し、腹部脂肪を減らした」

サルコペニア

サルコペニアとは、筋肉の減少によって 倦怠感、疲労、その他生活の質の低下などを引き起こす病気です。

人間は30歳以降、年を重ねるごとに筋肉量のおよそ0.5%~1%を失うと考えられいますが、 この失った筋肉量を取り戻す最も簡単な方法が筋力トレーニングです。

骨粗しょう症

骨粗しょう症には、有酸素運動、筋力トレーニングの両方が効果がありますが、 筋力トレーニングは有酸素運動とは異なり、 部分的な効果を有すると考えられています。

ボストン タフツ大学の研究(※1)によると、 「過去10年間の筋力トレーニングと骨密度の研究を調査したところ、正の相関があった」 と発表しています。

参考:
※1:ボストン タフツ大学 レインJEなど「筋力トレーニングの骨密度への影響」

腰痛、関節痛

腰痛持ちの患者に、 筋力トレーニングが効果があると考えられています。

カナダで行われた研究(※1)によると、 筋力トレーニング(※3)により、 痛みや障害の軽減、生活の質の向上など、 対象項目の全ての点で改善され、 「腰痛を持つ人にとって筋力トレーニングは有益である」と述べています。

ただし、一部の研究(※2)では、 典型的な筋力トレーニングによって一部の腰痛患者の症状を悪化させるような報告も見られるため、 実践には医師または専門家の指導が必要です。

参考:
※1:カナダ アルバータ大学「非特異的な慢性腰痛に対する(中略)筋力トレーニング(PRT)の効果」
※2:ガッティRなど「慢性腰痛を持つ個人のための体幹バランスの有効性」
備考:
※3:正確には「パフォーマンス最大化のための戦略的筋力トレーニング(PRTと呼ばれる)」

心臓病

米国心臓協会(AHA)は、 週2回以上の筋力トレーニングを推奨してします。

特に、 筋肉量の増加による健康体重の利点を上げており、 2014年には、 「医師は脳卒中患者に対して、 定期的な運動(筋力トレーニングに言及せず)を処方すべきである」という内容の文書を公開しています。

血圧

ベルギーの大学が複数の研究を調査したところ、 筋力トレーニングによって、-3.2~-6.0mmHgの血圧低下があったと発表しています。

その結果、 「適度な強度の筋力トレーニングは高血圧の防止、改善の一助になる可能性がある」 と述べています。

ただし、高負荷トレーニングは、 長期では利益があるとされるものの、 一時的に血圧が非常に高くなるリスクがあるため、 実践には医師への相談が必要とされています。

参考:
※1:ベルギー ルーベンカトリック大学「筋力トレーニングによる安静時血圧への効果」





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