コラーゲンを増やす方法
コラーゲンは人間の体の6%、皮膚の75%を占める成分です。このコラーゲンを増やす方法は大きく分けて2種類あります。
- コラーゲンの産出を増やす
- 今あるコラーゲンを減らさない
コラーゲンの産出を増やすには、 運動やアスコルビン酸(ビタミンC)の摂取が効果的で、 減少を阻止するには、 糖化対策、カロリー制限、紫外線の防止、タバコをやめることなどが効果的です。
ここでは皮膚、真皮層のコラーゲンを増やす方法について、 紹介しています。
コラーゲンを増やす方法
コラーゲンを増やす方法 一覧
■運動
|
運動する
コラーゲンは物理的な活動に応じて増加することが知られています。2000年デンマークで行われた研究(※1)によると、 17人の健康な若者を対象に、 42kmのマラソンとその後の時間経過に関連する コラーゲンの合成速度を調べたところ、運動後コラーゲンの合成速度が増加していました。
運動とコラーゲン合成速度
運動前 | 176±17 |
運動直後 | 減少 |
翌日から3日間 | 112%増加(197±8) |
5日目 | 運動前の値に戻る |
また、 スポーツ医学のためのアメリカ医学会という団体が発表した内容によると、 29名のボランティアに対して、 毎週3時間以上運動を行っているグループと、 座りがちなグループの太陽に晒されていない皮膚を比較したところ、 (紫外線などの影響を受けていない皮膚を比較するため) 座りがちなグループでは、 厚い角質層と薄い真皮層を持っていたのに対し、 毎週3時間以上運動を行うグループでは、健康な角質層と厚い真皮層(コラーゲン)を持っていた、 と発表しています。
運動の美容効果については、 運動による美容効果をご参照下さい。
参考
※1:コペンハーゲンの病院で行われた研究「長時間持久運動後のⅠ型コラーゲン代謝(以下略)」
糖化を避ける
糖化とは、簡略化すると、「糖分」と「たんぱく質」が結びついて、 肌の老化を促進してしまう反応です。この糖化は「紫外線」、「酸化」、「乾燥」と並んで、 肌の老化を促進する原因の1つになっています。
2003年イスラエルで行われた研究では、 メイラード反応(食べ物などに熱を通すことで変色が起こる反応)や糖化は、 コラーゲン同士を固くくっつけてしまい、 コラーゲンの弾力性の喪失をはじめ、 動脈硬化、心筋の低下につながると結論づけています。
また、京都薬科大学で行われた研究では、 糖化による生成物が皮膚の真皮層に蓄積し、 細胞機能を劣化させるとしています。
糖化の詳細や抗糖化(糖化対策)については、 糖化とはをご参照下さい。
カロリーを制限する
1995年アメリカ老年学会が発表した研究によると、 25ヶ月のカロリー制限(40%制限)により、 皮膚コラーゲンの糖化が18~33%減少したと発表しています。この結果を受け、 「カロリーを制限することは長寿につながるだけでなく、 コラーゲンの合成を増加させる」と発表しています。
また、2003年チェコスロバキアで行われた研究「コラーゲン蓄積に対する絶食の効果」によると、 生後20ヶ月を超えたラットにおいて、 50%のカロリー制限を加えたところ、 肺、肝臓、腎臓など、コラーゲン濃度の明らかな増加があったとし、 同じ年のラットに現れる身体変化が、 32ヶ月目まで遅れた、と報告しています。
ただし、行き過ぎたカロリー制限は注意が必要です。
このラットを使った実験では、 コラーゲンの増加はあったものの、カロリー制限により死亡率の増加もあったことが報告されています。
また、他の絶食とコラーゲンの関わる研究では、 「絶食はコラーゲン合成の速度を低下させる」とする研究結果も多く見られます。
そのため、 絶食や極端なカロリー制限はコラーゲンの合成を低下させ、 健康や生命のリスクにもなってしまうため、 コラーゲンの増加という点では、ほんの少しのカロリー制限が良い方法です。
アスコルビン酸(ビタミンC)を摂取する
また、1994年デューク大学医療センターの研究(※1)によると、 新生児(3~8歳)と高齢者(78~93歳)に対して、 アスコルビン酸がある時と、 アスコルビン酸がない時を比較したところ、 以下の様な結果となりました。
アスコルビン酸とコラーゲン合成
ない時 | 新生児が有意に速い |
ある時 | 年齢差なし |
この結果から、 「アスコルビン酸は 高齢者における線維芽細胞(コラーゲンを産出する)の減少を抑え、 コラーゲン合成を増加させることで、 高齢者の問題を克服することができる」と結論づけています。
参考
※1:「コラーゲン合成に関わる(中略)アスコルビン酸の影響」
※1:「コラーゲン合成に関わる(中略)アスコルビン酸の影響」
その他
双子(タバコを吸わないA、タバコを吸うB)
2006年ミシガン大学で行われた研究(※1)によると、 重度の光損傷によるコラーゲンの分解(断裂)は、 現存するコラーゲンを減らすだけでなく、 コラーゲンの生産能力を低下させる、と発表しています。
また、 タバコの煙は、コラーゲンとエラスチンの破壊を誘発します。
2002年に発表された研究(※2)によると、 喫煙者と非喫煙者を比較したところ、喫煙者はⅠ型およびⅢ型コラーゲンの合成速度が、 おのおの18%、22%遅かったと発表しています。
その他タバコによる弊害(美容)については、 タバコをやめる効果をご参照下さい。
参考
※1:「線維芽細胞の老化と機会的刺激(以下略)」
※2:「喫煙によるコラーゲン、細胞外マトリックス(以下略)」
※1:「線維芽細胞の老化と機会的刺激(以下略)」
※2:「喫煙によるコラーゲン、細胞外マトリックス(以下略)」