動脈硬化の予防と改善
動脈硬化の予防、改善に効果がある方法は、 「食事の見直し」、「ダイエット」、「運動」ですが、 特に効果のある方法が「ダイエット」です。動脈硬化のリスク因子の1つが肥満ですが、 ダイエットをすることは、 それだけでアテローム性動脈硬化の予防に効果があります。
ただし、同じダイエットでも、 運動をしない場合は効果は薄く、 また、低炭水化物ダイエットは内容によっては、 動脈硬化を進行させてしまう可能性が指摘されています。
ここでは、動脈硬化の予防と改善に効果のある方法について、 紹介しています。
動脈硬化の予防と改善方法
■食事と栄養
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食事と栄養素
動脈硬化と食事について、 改善や予防に繋がる要因と、リスクになる可能性がある要因は以下の通りです。
動脈硬化の予防(食事と栄養素)
■予防のために
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動脈硬化と食事の関係は未だ議論の余地があります。
アメリカ農務省(USDA)、アメリカ心臓協会によると、 総摂取カロリーの64%を炭水化物にするよう、警告しています。
日本の厚生労働省は、動脈硬化に言及しておらず、 かつ、 炭水化物の摂取量基準、耐用上限ともに設けていないものの、 脂質とたんぱく質から逆算すると、おおよそ60~72%程度、 炭水化物を取ることになります。
炭水化物を非常に多くして、 脂肪分を非常に少なくすることで、 血管造影に写った動脈硬化の脂肪線状が減少した、とする研究もいくつかあります。
この脂質の摂取量に異を唱えているのが、ハーバード大学の教授ウォルター・ウィレット氏などで、 より多くの脂質、特に不飽和脂肪酸(主に植物と魚の油)を取るように薦めており、 未だ栄養素と動脈硬化の関係は明確にはなっていません。
不飽和脂肪酸やトランス脂肪酸については、 トランス脂肪酸のリスクと多く含まれる食品をご参照下さい。
ただし、これら主張者に共通していることは、 炭水化物が必要であることと、 飽和脂肪酸(動物性)とトランス脂肪酸は取り過ぎないよう、警告していることです。
そのため、低炭水化物ダイエットは動脈硬化を促進するリスクとなります。
また、ビタミンB、にんにく、ザクロなどは、 アテローム性動脈硬化の予防に効果があります。
詳しくは、 動脈硬化に効果のある食べ物をご参照下さい。
ダイエット
動脈硬化のリスク因子の1つが肥満のため、 ダイエットをすることは、それだけでアテローム性動脈硬化の予防に効果があります。中でも地中海式ダイエットと呼ばれるダイエット方法が、 アテローム性動脈硬化の予防に効果があるとされています。
このダイエットはギリシャ、南イタリア、スペインなど、 地中海地方の人々の食習慣を標準化にしたもので、 オリーブオイル、果物、野菜、穀物などを多く摂る様にし、 肉や甘味はなるべく控える食事方法です。
2010年イタリアのフィレンツェ大学で行われた調査では、 過去2年の間に、死亡率、心血管系罹患率、がんの発生率、神経変性疾患の研究において、 地中海式ダイエットは良好な結果を得られた、と発表しています。
また、2011年、アメリカ心臓病学会誌に掲載された内容では、 535,000人をカバーする50の研究を調査したところ、 地中海ダイエットが低い血圧、低い血糖、低い中性脂肪(トリグリセリド)と関連している、と述べています。
詳しくは、地中海式ダイエットの方法や 地中海式ダイエットの効果をご参照下さい。
ただし、上記「食事と栄養素」でも触れている通り、 同じダイエットでも、炭水化物の不足分をお肉などのたんぱく質で補うことは、 動脈硬化を促進するリスクがあります。
ハーバード大学ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのマウスを使った研究では、 「低炭水化物/高タンパク食では、 アテローム性動脈硬化の有意な増加があった」と述べており、 血管の健康は従来考えられていた脂肪(脂質)だけでなく、 炭水化物が少ないこと、あるいは、たんぱく質が多いことによって影響を受ける(リスクになる)可能性がある、と述べています。
運動、その他
アテローム性動脈硬化症を予防する場合、 まず最初にすべきはダイエットですが、 ダイエット目的以外に、運動そのものがアテローム性動脈硬化の予防に効果があります。これは、血圧を下げる、中性脂肪を下げる、 空腹時血糖値を下げるなど、 体重の減少に関わらず、運動そのものに動脈硬化の予防・改善に繋がる直接的な効果があるためです。
また、喫煙は血管のしなやかさを保つ一酸化窒素(NO)を減少させるほか、 LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げるなどの弊害があるため、 禁煙をすることは動脈硬化の改善につながります。
動脈硬化の危険因子については、 動脈硬化(アテローム性)の原因 をご参照下さい。