抗糖化対策
糖化は余分な糖分によって起こるため、 抗糖化の基本は、 エネルギーとして利用されない「余分な糖」による 血糖値の上昇を抑えることです。そのためには、以下の2つが重要です。
- 不要な糖質の摂取を控える
- 血糖値を上げない・抑える(食事方法、生活習慣)
ここでは、抗糖化対策の基本について、紹介しています。
抗糖化の方法
抗糖化の方法は、「糖質の摂取を控える」、「血糖値を上げない(食事方法、生活習慣)」の2つを基本に、 大きく分けると2種類あります。- 慢性的な血糖値の上昇を抑える
- 一時的な血糖値の上昇を抑える
糖化対策(慢性的に血糖値を下げる)
|
糖質の摂取を控える
WHO(世界保険機構)は、 「糖質の摂取量を減らすべき」と勧告しています。WHOが2015年3月に発表した新しいガイドラインによると、
- 糖質の摂取量は総エネルギー量の10%未満
- 健康上の利点を有する場合は5%未満または25g以内にすべき
これは従来の糖質摂取量よりもさらに厳しい基準で、 糖質25gは砂糖小さじ(3g)8.3杯、大さじ(9g)2.8杯程度です。
日本では、 平成24年、厚生労働省の調査(※)によると、 日本人の約2,050万人(約16.2%)が糖尿病予備群とされ、 他の国々同様、日本人も多くの人が糖質を取り過ぎている可能性があり、 糖質を控えるよう警告されています。
※この調査はヘモグロビンA1c値(ヘモグロビンとブドウ糖が結合したものの割合、6.5%以上だと糖尿病が強く疑われる)に基づく調査のため、正確な原因(糖質の消費量過多によるかはどうか)は不明なものの、このうちの何割かは糖質の過剰摂取によるものと考えられます。
ダイエット、適正体重にする
血糖値に影響を及ぼす原因は食事、ストレス、年齢、運動量など様々ですが、 その中の大きな原因の1つが肥満です。アメリカ疾病管理予防センターによると、 「2型糖尿病患者の90%は肥満である」、 「2型糖尿病かどうかの最良の予測因子は肥満である」とも述べており、 ダイエットによって適正体重を維持することは、 血糖値を抑えるのに、最も適しています。
また、この過体重を治療する、ダイエットをすることは、 血糖値の上昇を防止する他の方法である「運動」や「食事の見直し」にもつながるため、 血糖値を抑える相乗効果が期待できます。
特に動脈硬化や抗糖化に効果のあるダイエット方法は 地中海式ダイエットをご参照下さい。
運動習慣を身につける
運動強度と血糖値の関係
- 糖(グルコース)の75%以上が筋肉に取り込まれることで血糖値を抑える働きがある
- 運動は糖質を消費することで、血糖値を下げる
インスリンの刺激によって、余分なグルコースは筋肉へ取り込まれますが、 この取り込み量は75%以上にのぼります。
そのため、筋肉トレーニングによって、筋肉を肥大、増量することは、 血糖値を下げる効果があります。
また、運動はその活動により糖質を消費するため、 血糖値を改善し、 特に血糖値が上がりやすい食事後の運動は効果的とされています。
運動の種類や強度と血糖値に関わる研究は非常に多く、 それら研究のほとんどにおいて、 「運動によって通常時の血糖値、食後血糖値が下がる」と報告されており、 運動は血糖値を下げる良い方法と考えられます。
また、ブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなる効果は、 文献によって違いがあるものの、運動後12~72時間(3日)程度とされ、 一日1回の軽い運動でも、血糖値を下げる効果は長く続き、抗糖化に効果があります。
毎日血糖値を測る
国際糖尿病連合(IDF)においても、 「血糖自己測定(SMBG)が最も実際的な血糖コントロール方法の1つである」とし、 「血糖自己測定(SMBG)の恩恵は、利用者に即時のフィードバックを提供できることであり、 糖尿病環境のコントロールに積極的に人々を関与させることができる。」と発表しています。
ただし、 「血糖値測定(SMBG)は、 非インスリン治療2型糖尿病の血糖値改善を促進する可能性がある」とする一方、 「結果に基づき食事や生活習慣の調整方法を学ぶトレーニングを併用した場合に限る。」とも述べており、 測定した血糖値はあくまできっかけに過ぎず、 血糖値測定(SMBG)にもとづいて、食生活や運動、生活習慣の見直しが必要とされています。
正常な血糖値
国際糖尿病連合(IDF) 基準値 |
|
HbA1c(%) | <6.5 |
空腹時(食前血糖値) (上段:mmol/L /下段:mg/dl) |
<6.0 <110 |
食後2時間血糖値 (上段:mmol/L /下段:mg/dl) |
<7.8 <140 |