筋トレはダイエットに効果的か?
筋力トレーニングはダイエット、 特に体重の減少にはあまり有益な手段ではありません。筋力トレーニングは体脂肪の減少、体型の変化(ウエスト、ヒップなど)に対する効果は高いものの、 体重の減少という点では、有酸素運動ほどの効果はありません。
ここでは、筋力トレーニングとダイエット、減量について紹介しています。
デューク大学メディカルセンター
デューク大学メディカルセンターらの研究(※1)によると、 普段あまり運動をしない119名の人(18歳~70歳、BMI25~35%)を3つのグループに分け、 8ヶ月間調査したところ、 以下のような結果となりました。3つのグループ
- 筋トレ・・・週3日、1日3セット、1セット8~12回
- 有酸素運動・・・最高酸素摂取量の65~80%ペース、約20km/週
- 組合せ・・・上記の組合せ
有酸素運動と筋力トレーニングの比較
筋トレ | 有酸素 | 組合せ | |
摂取カロリー | 2,009kcal | 2,100kcal | 2,009kcal |
体重 | +0.83kg | -1.76kg | -1.63kg |
体脂肪率 | -0.65% | -1.01% | -2.04% |
体脂肪量 | -0.26% | -1.66% | -2.44% |
ウエスト | -0.06cm | -1.01cm | -1.66cm |
除体脂肪 | +1.09kg | -0.10kg | +0.81kg |
これら結果を踏まえ、 「筋力トレーニングは除脂肪体重(LBM:筋肉や骨など重量のこと)の増加には効果があるが、 体脂肪量や総体重を有意に減少させるには、 有酸素運動の方が効果がある」と述べています。
また、組合せ(有酸素運動+筋力トレーニング)は時間が2倍かかるにも関わらず、 それに見合う効果は有酸素運動ほどではなく、 有酸素運動単独の方が、 体脂肪量や総体重を減少させるには効果がある、と述べています。
参考:
※1:デューク大学メディカルセンター、イーストカロライナ大学(ECU)
「過体重または肥満の成人の体重と脂肪量に好気性および/または筋力トレーニングの効果」
※1:デューク大学メディカルセンター、イーストカロライナ大学(ECU)
「過体重または肥満の成人の体重と脂肪量に好気性および/または筋力トレーニングの効果」
閉経後女性における6ヶ月間の筋トレ効果
2008年に発表された107人の閉経後女性を対象にした 6ヶ月間の筋力トレーニングの効果を調べた研究(※1)によると、 「カロリー制限」と「カロリー制限+筋力トレーニング」の2グループにおいて、 体重、BMIなどダイエット指標の多くは両グループにおいて類似していた、と発表しています。ただし、ウエスト周囲や脂肪量の変化は、 筋力トレーニングによる効果が高く現れていました。
6ヶ月間の主な筋力トレーニング内容
- フェーズ1(3週間)
運動強度最大の65%の負荷を15回、2~3セット - フェーズ2(5週間)
運動強度最大の70%の負荷を12回、3セット - フェーズ3(9週間)
運動強度最大の75~80%の負荷を8~10回、2~4セット - フェーズ4(8週間)
運動強度最大の70~75%の負荷を10~12回、3~4セット
女性における筋力トレーニングのダイエット効果
カロリー制限 | カロリー制限+筋トレ | |
体重 | -5.1kg | -5.6~5.8kg |
BMI | -1.9 | -2.2~-3.3 |
ウエスト周囲 | -4.3cm | -5.6~-6.9cm |
体脂肪量 | -2.5% | -3.7~-4.4% |
空腹時血糖値 | -0.02(mmol/L) | -0.04~+0.03(mmol/L) |
収縮期血圧(最高血圧) | -0.6mmHg | +0.2~-2.5mmHg |
※カロリー制限+筋トレグループは、「Intent to treat analyses」と、「Efficacy subset analyses」によって結果が異なっていたため、
「~」で表示しています。
その他、中性脂肪(-0.23 対 -0.25~-0.20)、総コレステロール(-0.07 対 0.02~0.01)、 LDLコレステロール(0.04 対 0.14~0.11)、HDLコレステロール(0.01 対 -0.01~-0.01)となっていました。
その他、中性脂肪(-0.23 対 -0.25~-0.20)、総コレステロール(-0.07 対 0.02~0.01)、 LDLコレステロール(0.04 対 0.14~0.11)、HDLコレステロール(0.01 対 -0.01~-0.01)となっていました。
参考:
※1:2008年「太りすぎや肥満閉経後の女性において、6ヶ月減量プログラムの後、抵抗運動は代謝プロファイルの改善に寄与しない」
※1:2008年「太りすぎや肥満閉経後の女性において、6ヶ月減量プログラムの後、抵抗運動は代謝プロファイルの改善に寄与しない」
高齢者での適度な強度の筋力トレーニングの効果
60~75歳を対象とした10週間の筋力トレーニングの研究(※1)によると、 高齢者における適度な筋力トレーニングは、 体重を減らす方法として特別有意ではないものの、 体脂肪を減らしながら、筋力の低下(サルコペニア)を防止するには、有益な手段である、 と述べています。10週間の主な筋力トレーニング内容
- 週3日、レッグプレス(足を鍛える運動の一種)、最大強度40%で40分
高齢者における適度な筋力トレーニングの成果
減量グループ | 減量+筋トレ | |
体重 | -1.7±0.9kg | -3.3±0.8kg |
体脂肪量(FM) | -0.2±1.0kg | -4.1±0.9kg |
除体脂肪 | -1.4±0.4kg | +0.8±0.4kg |
大腿筋面積 | -1.3cm2 | +5.5cm2 |
参考:
※1:2010年ジョシュアJ.アビラら、 「太りすぎの高齢者の減量中における(中略)適度な強度の筋力トレーニングの効果」
※1:2010年ジョシュアJ.アビラら、 「太りすぎの高齢者の減量中における(中略)適度な強度の筋力トレーニングの効果」
ダイエットに筋力トレーニングは有益か?
筋力トレーニングは、 有酸素運動と比較すると、 体重の減少という点ではダイエット効果は低いものの、 「体脂肪の減少」、「体型の変化(ウエスト、ヒップなど)」に対しては、 非常に有益であると言えます。また、高齢者では減量にともなう筋力の低下は サルコペニアを発症するリスクがあるものの、 筋力トレーニングは体重を減らしながら筋肉量を増やせる有益な手段です。
その他、上記研究では、 トレーニング時の負荷(重さ)を低くし、時間を長くするほど体重の減少が大きいことから、 筋力トレーニングでも、負荷を低く設定し、有酸素運動に近づけることで、 ダイエット効果(体重の減少)が大きくなる可能性もありそうです。