LDLコレステロールを下げる方法
動脈硬化を予防する、 あるいは、LDLコレステロールを下げる有益な方法の1つがダイエットです。1966年~2001年に発表された論文を調査&まとめた研究によると 「10kgの減量によって8.9mg/dL(=0.23mmol/L)コレステロール値の低下が見込める」としています。
ただし、単にダイエットしただけではその効果は薄く、 適正体重にまで落とすことが重要です。
ダイエットによってLDLコレステロール値が減少する
1966年~2001年に発表された論文のうち、 BMIが28以上(肥満基準は25以上)の人を対象とした 体重とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の研究をまとめた調査によると、 「10kgの減量によって8.9mg/dL(=0.23mmol/L)コレステロール値の低下が見込める」とし、 「特にLDLコレステロールに長期的に有益な効果を有する」と発表されています。上記調査以外でも、 1999年ペンシルバニア大学で行われた25名の肥満女性を対象とした研究において、 「最初の8週間で体重が平均11.7%(±2.8) 減少したところ、 LDLコレステロールは平均23%(±18.1)減少した」と発表しています。
単に体重を下げただけではダメ
しかし、上記研究では、 48週後には体重はさらに平均20.1%まで減少が見られたにも関わらず、 LDLコレステロールは11.5%しか減少していませんでした(8週目:23%と比較するとむしろ増加していました)。なぜLDLコレステロール値が下がらないのか
この研究において、患者一人一人を詳しく分析していくと、 初期重量から10%以上の体重を減らした患者のみ、 LDLコレステロールの有意な減少があった、としています。そして、この研究内において、 LDLコレステロール値を下げるためには、 単に体重を下げるだけでは効果はなく、 「適正体重にまで下げること」と「他の要因」の必要性が述べられています。
また、2011年に発表された5,145名(体重100kg±19.3kg)を対象に行われた研究「2型糖尿病患の心血管リスク因子を改善するのに適度な減量の利点」では、 体重の減少(5~10%)は、 血圧、血糖値、脂質、心血管リスクを改善するものの、 体重の減少とLDLコレステロール値とは、有意な関係はなかった、と述べています。
しかし、この論文内でも同様に、15%以上、体重が減少した場合、 LDLコレステロールの減少に効果があるとしており、 開始時の平均体重が100kgであったため、70kg程度の標準体重に減らすことが必要である、と述べています。
適正体重の重要性
これら研究をまとめると、- 現在の体重が肥満体重である場合、痩せることで短期的にLDLコレステロール値が下がる可能性がある
- ただし、痩せた後の体重がまだ肥満体重である場合、その減少は一過性になる可能性がある
- 適正体重まで戻すとLDLコレステロール値の減少に効果がある
そのため、動脈硬化を予防する、LDLコレステロール値を下げるためには、単純に痩せるだけでなく、 標準体重まで減量し、維持することが重要になります。