抗糖化対策(食べ物)

抗糖化対策(食べ物)
糖化は慢性的に血糖値が高い人だけでなく、 食後血糖値が高い場合や、 AGEs(糖化最終生成物)を多く含む食べ物を摂取しても起こります。

これは糖化反応が「余分な糖」によって起こるためで、 血糖値を上昇させることは、血中に「余分な糖」を生じさせてしまいます。

ここでは、食事に関わる抗糖化対策について、 紹介しています。
食事以外の慢性的な血糖値の上昇を抑える方法については、 抗糖化対策をご参照下さい。


抗糖化の方法

糖化対策(血糖値の上昇を抑える)
  • 低GI(グリセミック指数)を選択する
  • サラダなど、血糖値を上げにくくする食品を先に食べる
  • 穀物は未精製品を選ぶ、食物繊維を多く摂る
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 脂肪は20~25%に抑える
  • 糖化した食品を避ける
  • 麺類は少し固め
  • アルコールを控える
  • 抗糖化作用をもつ食材・栄養素を摂る

低GI(グリセミック指数)を選択する

グリセミック指数は同じ質量の糖分を摂取しても、 血糖値の上昇度合いが異なることを数値化した指標です。 ブドウ糖による血糖値の上昇度合いを基準値の100とし、 他の食品はその相対値で表されます。

そのため、このグリセミック指数が高い食品を避けることで、 血糖値を抑えることができます。 このグリセミック指数は研究機関によって数値が異なるものの、 一般的に高グリセミック指数食品とされる食べ物は、以下の通りです。

高グリセミック指数食品
  • じゃがいも
  • サツマイモ
  • パン類
  • 白米
  • ケーキ類
  • チョコレート
  • 炭酸飲料(高糖度)

サラダなど、血糖値を上げにくくする食品を先に食べる

「食べる順序」、「野菜から食べる」などは血糖値を上げないポピュラーな方法です。

大阪府立大学総合リハビリテーションで行われた研究によると、 糖尿病患者を対象に「ご飯」と「サラダ」の食べる順序を変更したところ、 「野菜から食べた日の30分後の血糖値は、 217(±40)mg/dlから 172(±31)mg/dlに45mg/dlも低下した」と発表しており、 単純な方法であるものの、非常に効果の高い方法になっています。

穀物は未精製品を選ぶ、食物繊維を多く摂る

抗糖化対策(食べ物)
精製された穀物、特に日本では白米は主食ですが、 血糖値を上げやすい高グリセミック指数食品に分類されます。

一方、玄米は ビタミン、ミネラル、繊維などの多くの栄養素が含まれており、 白米と比較すると血糖値が上がりにくくなっており、 抗糖化には白米よりも玄米の方が優れています。

ただし、血糖値を上げない穀物であっても、 食べ過ぎには注意が必要です。

1997年サルメロンJらの論文「食物繊維、血糖負荷(以下略)」によると、 1.「高血糖食と低穀物繊維」の組み合わせは、 2.「低血糖食と高穀物繊維」の組み合わせと比較した場合、 前者(1.「高血糖食と低穀物繊維」)はより糖尿病のリスクに関係していたとする一方、 中央値で分けた場合、 穀物繊維の摂取そのものは、 糖尿病のリスクと関連していた、とも発表しています。

そのため、白米を玄米に置き換えても、 食事量そのものを増やしたりすると効果は薄くなる可能性が高くなります。

ゆっくりよく噛んで食べる

「よく噛んで食べる」ことは様々な方面から支持されています。

これは、 早く食べ過ぎると、 インスリンの分泌が間に合わず、 急激な血糖値の上昇を招くためです。

欧州内分泌学会(ESE)によると、 「より早く食べることは、 糖尿病のリスクを2.5倍高くする」と発表しているほどで、 血糖値を上げない方法としても「よく噛んで食べる」ことは、 有効であると考えられています。

また、 名古屋文理大学が発表した「食事が血糖値に及ぼす影響(以下略)」によると、 市販のおにぎり2個(約350kcal)を自由に咀嚼摂取させた時と、 一口40回強制的に咀嚼摂取させた時の食後血糖値を比較したところ、 「よく噛んで食べたグループの方が、 血糖値はより早く上がったものの、下降も早かった。」という結果になっていました。

また、よく噛んで食べることは、 一時的な血糖値の上昇・下降の影響もさることながら、 咀嚼回数による満腹感が、 食事量そのものを減らすことで、血糖値を下げる作用があります。

脂肪は20~25%に抑える

脂肪分は食後血糖値にほとんど影響を及ぼさない、と考えられており、 実際に炭水化物やたんぱく質と比較すると、 食後血糖値の変動はほとんどありません。

また、他の食べ物(炭水化物)と一緒に摂取すると、 血糖値を上げにくくする働きもあります。

しかし、脂肪の取り過ぎは耐糖能障害をもたらし、 インスリン感受性を悪くしてしまうため、 取り過ぎには注意が必要です。

ただし、これは脂質を全く取らないことを意味するのではなく(トランス脂肪酸を除く)、 厚生労働省も定めるように、 総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のそれぞれが、 最も最適な血中濃度になる脂質摂取量として、 20~25%程度の目標値が定められています。

糖化した食品を避ける

糖化は「糖分」と「たんぱく質」の結びつきだけで起こる訳ではありません。

食品は熱を加えることでAGEsの形成を促し、 特に脂質とタンパク質が多い食品に熱を加えると、 10~100倍のAGEsが生成される、と考えられています。

アメリカ「食品中の終末糖化と国会における削減の実用ガイド」によると、 鶏肉、牛肉、ベーコン、マクドナルドなどにAGEs(糖化最終生成物)が多く含まれる、と発表してます。

AGEs(糖化最終生成物)が多い食品
チキン(皮、背中、もも、胸など) 7,420~16,668
ベーコン 11,905
牛肉(ボイル、ステーキ) 8,570~10,143
マクドナルド(チキン) 8,331
マクドナルド(ビッグマック) 7,801
マクドナルド(チキンクリスピー) 6,950
ピザ生地(薄い) 6,825
※対象549食品のうち、上位20位(チキンと牛肉はまとめて)表示しています。
※100gあたりでなく、1食あたりAGE kU/servingを表示しています。
※チキンと牛肉は調理法によって値が異なっているため「~」によってまとめています。

麺類は少し固め

パスタやうどんなど多くの麺類は グリセミック指数(GI)を見る限り、 低~中程度(55以下~69以下)と比較的低いものの、 多少のばらつきがあります。

アメリカの栄養ジャーナルに掲載された内容によると、 麺類はその茹で時間により形状を変え(β化→α化変性)、 αでんぷんは柔らかく消化されやすいため、 パスタなど麺類は茹で過ぎると血糖値を上げやすくする、と警告しています。

また、麺類が固いと上記「噛みごたえ」も増すため、 血糖値の上昇を抑えるには、 麺類は少し固め(アルデンテやメンカタ)で調理・注文するのが良いかもしれません。

ただし、固すぎるあるいは生の麺などは、 健康への影響が分かっていないため、 やり過ぎには注意が必要です。

アルコールを控える

アルコールはその分解過程でアセトアルデヒドを産出し、 糖分と結びついて糖化の原因になります。

カレル大学が発表した 「慢性アルコール乱用患者における終末糖化産物」によると、 慢性アルコール依存症患者でAGEsの値は有意に高かった、と発表しています。

喫煙も同様に、 慢性的な血糖値を上げる原因の1つです。
タバコの健康被害(美容)については、 タバコをやめる効果(美容編)をご参照下さい。

抗糖化作用をもつ食材・栄養素を摂る

抗糖化作用を持つ栄養素はビタミンB、αリポ酸、ルチンなどです。
これら栄養素は糖の代謝を促進したり、 たんぱく質と糖が結合するのを防ぐ働きがあります。

詳しくは、 抗糖化作用をもつ食べ物(サプリメント) をご参照下さい。


トップへ
関連記事
メニュー 一覧

TOPページ
このエントリーをはてなブックマークに追加