タウリンの効果(血圧低下)

タウリンが血圧の低下に効果があるとする説と、 タウリンは血圧の低下に効果がないとする説があります。

古くはタウリンが交感神経を抑制することで、 血圧を安定化させる効果があると考えられていました。

しかし、タウリンと血圧の低下に関わる様々な研究が行われた結果、 原因や摂取方法により、 タウリンの作用が異なることが分かってきています。

ここでは、タウリンの血圧低下効果について、紹介しています。


タウリンによる血圧低下の効果は限定される

タウリンと血圧低下効果
  • 血圧が正常な場合、タウリンは効果がない
  • 遺伝的に高血圧の場合、タウリンは効果がある
  • タウリンの代謝欠陥による高血圧に効果がある

1978年に行われた研究(※1)によると、 生後4~14週の正常な血圧のラットに対して、 飲料水にタウリン3%を混ぜて与えたところ、 血圧にはほとんど影響がありませんでした。

一方、食塩を負荷しないで自然に高血圧症を引き起こすラット(SHRラット)に対しては、 高血圧の発症をやや遅らせる効果がありました。

しかし、タウリン代謝に障害のある脳卒中易発性高血圧ラット(SHRSPラット)に対しては、 高血圧の発症において、極めて有意な減少がありました。

それら結果より、 「タウリンは、血圧の維持に調節的役割を果たしているのではなく、 タウリンの代謝に欠陥を持っている(SHRSP)高血圧症と関連しているでは?」としています。

参考:
※1:1978年「高血圧自然発症ラットにおける食餌タウリンの血圧に対する効果」

一過性と慢性ではタウリンの血圧低下作用が異なる

タウリンと血圧低下効果
  • タウリンの血圧低下効果は動脈筋の弛緩、血管拡張作用によるものである
  • 一過性のタウリン補給と慢性的タウリン補給では効果が異なる
  • 一過性のタウリン補充は血圧低下作用がある
  • 慢性的なタウリン補充では血圧上昇、頻脈などの恐れがある

ニューヨーク市立大学で行われた研究(※1)によると、 タウリンは血管の拡張作用を通じて、 収縮期(最大)血圧、拡張期(最小)血圧を低下させる効果があるとしています。

これは、タウリンが 動脈筋の弛緩、血管拡張、血圧の低下などに効果のある GABA受容体を活性化させる作用によるものである、としています。

ただし、一過性のタウリン補充と、 慢性的なタウリン補充では結果は異なっていました。

急性タウリンの注入では、上記のような血圧低下の効果を得られたものの、 0.05%濃度タウリンを飲料水に混ぜて4週間与えたところ、 女性では血圧の上昇、また男女とも頻脈が観察されました。

その結果、 タウリンの急性投与は、血圧を下げるのに有益であるとしながも、 「女性へのタウリンの補充は血圧の有意な増加を引き起こした」としています。

そのため、 女性では、 血圧の低下をタウリンに期待することは、少し難しいかもしれません。

参考:
※1:ニューヨーク市立大学「血圧や血管作用に対するタウリンの機能」

高塩分食を原因とする高血圧では、難しい

タウリンと血圧低下効果
  • 高塩分食を原因とする高血圧では、タウリンは効果がない

アラバマ大学で行われた研究(※1)によると、 タウリンは塩分摂取の少ない中枢系の病気による高血圧には効果があるものの、 高塩分摂取量による高血圧には効果がない、としています。

この実験では、 SHRラット(高血圧自然発生ラット)に対しては、 タウリンは効果があったものの、 このSHRラットの食餌に高塩分食を与えたところ、 初期(9日間)、血圧の上昇を加速させ、 その後血圧を下げることができませんでした。

そのため、 「タウリンは、高血圧の降下に一般に有益であるものの、 高食塩食を組み合わせた場合、 タウリン補充は、 早期副作用を有し得ることを示唆している」と発表しています。

参考:
※1:アラバマ大学など「ヒトへの適用のための利点と制限事項:高血圧自然発症ラットにおけるタウリン補充」





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