タウリンが肝臓に効く

タウリンが肝臓の回復に効果があります。

このタウリンによる肝臓治癒、回復効果は、 フリーラジカル(活性酸素)による酸化的損傷、毒素、 アルコールなどから肝臓細胞を守る働きによるもので、 タウリンは肝臓の医療用医薬品としても販売されいてます。

ここでは、 タウリンの肝臓保護効果について、 紹介しています。


タウリンによる肝臓に対する効果一覧

タウリンの肝臓効果一覧
■肝臓一般
  • 肝臓の保護
  • 肝臓疾患の予防
■アルコール
  • アルコール性肝疾患の予防・回復
  • アルコール依存症の予防
■脂肪肝
  • 脂肪肝の予防と回復

タウリンは肝臓の医薬品として利用される

タウリンは栄養ドリンクやサプリメント以外に、 医師の処方箋を必要とする医療用医薬品としても販売されています。

医療用医薬品は厚生労働省により、 有効性と安全性の確保のもと販売される処方箋薬です。

この処方箋薬としてのタウリンに記載されている有効性は、 「肝・循環機能改善剤」であり、 タウリンは肝臓機能の保護・改善と心筋の調整を主な効能としています。

タウリンの医療用医薬品としての効果(肝臓)
  • 肝臓で生合成される胆汁酸(脂肪の消化・吸収)を増やす
  • 肝臓の細胞を保護する(肝細胞の再生を促進し、肝ATPを増加する)
  • 急性・慢性肝障害において、肝機能を再生、正常化する
  • 虚血、低酸素条件下において、肝機能の恒常性を維持する
  • 高ビリルビン血症において、肝機能を改善する

タウリンは各種毒から肝臓を守る

タウリンは毒から肝臓を守る効果があります。

日常生活において、意図的に毒を摂取することはないものの、 タウリンには、毒に侵された肝臓でさえ、元気にする効果があります。

カドミウムからの保護

台湾で行われた研究(※1)によると、 タウリンはカドミウム毒性から肝臓を守る効果がありました。

この研究では、 ラットに対して、 150~300ppmのカドミウムとタウリンを投与したところ、 カドミウムの量が多いほど、 体重の減少、体重における肝臓と腎臓の重量比率の減少、 肝臓中のグルタチオン(活性酸素から細胞を保護する役割)のレベルの減少、 血漿と肝臓における酸化マーカーの増加などの減少が見られました。

しかし、タウリンを同時に与えたグループでは、 これらカドミウムの毒性効果が大幅に減少しており、 また、カドミウムそのものの体外への排出量も増加していました。

これら結果より、 「タウリンはラットにおいて、カドミウムの毒性効果を減少させる役割を果たしている可能性がある」 と結論づけています。

参考:
※1:2001年台湾「ラットにおけるカドミウムの毒性に対するタウリンの効果」

アセトアミノフェンからの保護

解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンの過剰摂取は、 肝臓に障害を引き起こします。

タウリンはこのセトアミノフェンによる損傷から、 肝臓を保護する役割があります。

アイルランドで行われた研究(※1)によると、 ラットに対してアセトアミノフェンを投与したところ、 肝臓のDNA断片化、及び、肝細胞壊死を引き起こしました。

しかし、アセトアミノフェン投与前後に2回(12時間前と1~2時間後)、 タウリンを与えたところ、 肝臓の脂質過酸化と肝損傷の著しい改善が見られました。

そして、 「これらの結果は、 タウリンがアセトアミノフェン誘発性肝損傷における予防および治療効果を有することを示している」 と結論づけています。

参考:
※1:2001年アイルランド「ラットのアセトアミノフェン誘発性肝損傷防止におけるタウリンの役割」

アルコールから肝臓を保護する

タウリンはアルコール摂取による影響から肝臓を守るだけでなく、 肝臓を回復する効果があります。

アルコール性肝疾患を予防・回復

アルコール性肝疾患に対するタウリンの影響を調べた研究(※1)によると、 3ヶ月間ラットにアルコールを投与したところ、 タウリンを未処理のグループやタウリンが枯渇していたグループと比べ、 タウリンを投与したグループでは、肝臓にかかわる様々な数値の改善が見られました。

タウリンによるアルコールからの肝臓保護効果
  • AST(旧:GOT)とALT(旧:GPT)の低下
    → 肝細胞の損傷を図る指標が改善
  • 肝臓の総タンパク質(TP)の増加
    → 肝機能が低下すると基準値6.5g/dLを下回る指標が改善
  • グルタチオンの増加
    → 活性酸素から細胞を保護する役割を持つ分子が増加
  • スーパーオキシドジスムターゼの増加
    → 肝臓細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素が増加
  • ヒドロキシプロリン、血清ヒアルロン酸、インターロイキン2、インターロイキン6、腫瘍壊死因子などが低下
    → その他肝臓の損傷、肝線維化を表す指標の低下

その結果、 タウリンを与えたグループでは、 肝臓の脂肪変性や炎症の割合が、有意に減少していました。

また、これら結果より、 「タウリンは、 慢性アルコール摂取に起因する肝疾患を予防または逆転させることができることを実証してる」と発表しています。

参考:
※1:中国「ラットにおけるアルコール性肝疾患に対するタウリンの効果」

慢性的アルコール摂取から肝臓を守る

慢性的なエタノールの供給(アルコールの摂取)は、 以下の様な症状を引き起こします。

慢性的アルコールによる肝臓への影響(一部)
  • アディポネクチン(インスリン感受性の亢進、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大抑制などの健康効果がある)の発現を減少させる
  • 脂肪組織において、酸化ストレスと小胞体ストレス(変形タンパク質、様々な疾患の原因となる)を増加させる

一方、慢性的にエタノールを与え続けたラットに対して、 タウリンを投与すると、以下の様な肝臓の損傷を防ぐ効果がありました。

タウリンによるアルコールからの肝臓保護効果
  • タンパク質をエタノールによる変性から守る
  • 細胞の酸化防止活性を増強する
  • 弱毒化腫瘍壊死因子αの発現を防止する
  • 脂肪酸酸化に関与する遺伝子の発現を増加させることにより脂肪症を予防する
  • エタノール誘発性酸化ストレスを防止する
  • エタノール誘発性アディポネクチンの減少を防ぐ
  • エタノール誘発性炎症性サイトカインの発現を防止

これら結果より、 「タウリンは、 エタノールによって引き起こされる肝臓の損傷を防ぐ効果を有することを示している。」としています。

参考:
※1:「タウリン補充は、ラットにおけるエタノール誘発性の血清アディポネクチンの減少を予防し、肝脂肪を減少させる」

肝臓のコレステロール濃度の減少

また、タウリンは肝臓におけるコレステロールの濃度を低下させる作用があります。

静岡大学などで行われた研究(※1)によると、 ラットに高コレステロールの食餌と、 タウリン(0.25~50g/ kg)を2週間与えたところ、 以下の様なコレステロールの改善が見られました。

高コレステロール食による肝臓への影響とタウリンの効果
■高コレステロール食による影響
  • 高コレステロール食は血清、肝臓、心臓のタウリンの濃度の有意な減少を引き起こした
  • 血清HDL(善玉)コレステロールの主要成分の一つが減少した
  • コレステロール排出の指標(胆汁酸、CYP7A1など)が増加
  • 内因性脂質(VLDL)が有意に増加した
■タウリン投与による影響
  • タウリンの量が多いほど、肝臓、および、血清総コレステロールの有意な減少が見られた
  • タウリン補充により、血清HDL(善玉)コレステロールが上昇した
  • コレステロール排出の指標(胆汁酸、CYP7A1など)がさらに増加
  • 内因性脂質(VLDL)の増加を抑制し、正常化した

このことから 「これら結果は、タウリンのコレステロール低下の強化、胆汁酸の排泄が主な原因であった」と結論づけています。

参考:
※1:「食物タウリンは高コレステロール食を与えたラットにおいて、 コレステロールの低下を強化し、血清および肝臓コレステロール濃度を削減する」

肝硬変にタウリンが効く

タウリンは肝臓が固くなり機能しなくなる「肝硬変」にも効果があります。

トルコで行われた研究(※1)によると、 意図的に肝硬変にしたラット(チオアセトアミド投与により)において、 タウリンは肝硬変から保護する効果がありました。

肝硬変に対するタウリンの効果
■肝硬変ラットの症状
  • 酸化ストレスの指標となるマロンジアルデヒドの増加
  • 活性酸素種から細胞を保護するグルタチオン(GSH)の減少
  • 抗酸化作用のあるビタミンE、ビタミンCが有意に減少
  • 酸化的損傷から有機体を保護するグルタチオンペルオキシダーゼの活動(GSH-PX)が減少
■固形飼料にタウリン2%添加(3か月)
  • 肝臓の脂質過酸化を減少させた
  • ビタミンE、GSH-Pxの活性を増加させた

これらの結果より、 「タウリンは、酸化ストレスを減少させることにより、 チオアセトアミドによって誘発された肝硬変に対して抑制・保護する効果を持つ」と発表しています。

参考:
※1:トルコイスタンブール大学「タウリンは、酸化ストレスを減少させることによってチオアセトアミド誘発性肝硬変に対する保護効果を有する」






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